シンガポールは経済的発展によって豊かな経済生活を実現し、先進国同様の生活環境を享受している。だが、そこには市民社会というものが決定的に欠落してしまっている。人民行動党が目指した、労働者としての国民は非政治化を促され、消費者としてのみ生活する国民像が現実のものとなっている。ここに他の東南アジア諸国とは全く違う国民意識、消費者意識とも言って良いものがある。見かけ上は民主主義であるが、その実際は一党独裁であり、市民意識を醸成してこなかったことから下からの民主化という流れも存在しない。少なくとも、現状のままでは権威主義体制というシンガポールのガバナンスの形態は変化しないであろう。