多数決とキャズム
なんとなくメモ。
マーケティング論をかじったことがある人なら、innovator,early adopter,laggerdなんて言葉を聞いたことがあるはず。他にも分類の方法はあるけれど、代表的なのはこれだろう。
Innovators はトップの 5% - 10%
Early Adopters は次の 10% - 15%
Early Majority は次の30%
Late Majority は次の 30%
Laggardsは残りの 20%
Wikipediaのキャズムについての記述にこう書いてある。
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- イノベーター(innovator)
- 新しい技術が好きで、実用性よりも新技術が好きな人。オタク。
- アーリー・アダプター(early adapter)
- 新しい技術によって、競合相手などを出し抜きたいと思っている人々。
- アーリー・マジョリティー(early majority)
- 実用主義で役立つなら新しい技術でも取り入れたいと思っている人など。
- レート・マジョリティー(late majority)
- 新しい技術は苦手だがみんなが使っているなら自分も使わなければと思う人たち。
- ラガード(Laggard)
- 新しい技術を嫌い、最後まで取り入れない人々。
- イノベーター(innovator)
それぞれの間に溝があり乗り越えなければならないが、特にアーリー・アダプターとアーリー・マジョリティーの間の大きな溝(キャズム)を乗り越えられるかどうかが、その製品が普及するか、一部の新製品マニアに支持されるにとどまるかどうかの一番の鍵である。
で、だ。市場規模で考えると、innovatorとearly adapterが占める割合は15%-25%。つまり、どう頑張ったところで市場で過半数になることはありえない。だから「キャズムを超えろ」と言われるわけだけど、これは政治の世界でも似たようなもの。
今回の文化庁の違法ダウンロード問題が深刻なのは、こういった問題について積極的に情報収集を行ったりあるいは発言を行っているのはマーケティング論でいうところのinnovatorやearly adapterたちであって、その次の層との間にあるキャズムを超えるのは至難の業なのだ。別にこれはMIAUが悪いというのではない。あのローレンス・レッシグ教授でさえ、この壁は越えることができなかったのだから(だから彼は複雑な問題を簡単に相手に理解してもらうために「3秒ルール」という考え方を広めた)。
世の中の大半のひとは、問題が起きてから、その影響力の大きさに気が付く(米国で起きているサブプライム住宅ローン問題は、2005年の時点で危ないと言われ、2006年には警告する人がたくさんいたのに、結局はここまで状況が悪化した。2007年2月の時点で、Mortgage Bank Associationはサブプライム住宅ローンに対応するための検討論文を発表している。)。
Lessig教授が広めて有名になったアーキテクチャ論を実践のなかで理解する難しさは、当該アーキテクチャが実装される「前」に、実装後の問題点を洗い出し整理し対応策を考えないと、実装後には対応ができなくなる点にある。特に日本のように一旦施行された法律を修正・廃止することが極めて難しい国では、新規に導入するアーキテクチャの持つ威力は計り知れない。また、昨日のMIAUのシンポジウムで池田氏が論じていたように、結局のところ官僚が法律を運用過程で恣意的に曲げていくような状況下ではどうしようもなくなる。 また、小倉弁護士が私的領域の消滅が、国家の家庭内への介入を実現してしまうと危惧していた。
early majorityに対して理解してもらえる言葉を探すのも、今後の課題になるのだろうな。環境保護運動が「環境問題」を創ったような方法で。