40ミリ秒 (application/pdf オブジェクト)

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なるほど,面白い! (だぁ,この PDF コピペ制限かけてるよ)

“処理速度の改善に向けた動きは留まることを知らず、「ミリ秒(ms)」が実現できたら次は「マイクロ秒(μs)」の世界を目指そうという勢いすら感じられる。”

これってつまり設計要件が異なるんだな。東証では10年使えるシステムを目指すがゆえに性能よりも安定性が優先される。もしこの記事にあるように「株式売買システムの処理性能そのものが取引所の価値や差別化の要因」だっていうのなら,東証のシステムは最初の1フィートで間違っていることになる。10年もつシステムと2,3年でリプレースすることを念頭においたシステムでは信頼性の要件がまるで異なる。

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おそらく東証の提示した膨大な量のRFPはメインフレームの安定性を前提に考えられていたと思います。何しろ2005年までRFPを作成したことがない会社ですから(その事実だけでも十分驚きですが、東証が技術インフラを大事にしてなかったのは割り振られていた予算からだけでも十分わかります)、今までと同じ仕組みをより高速に処理する「だけ」を念頭に置いていた可能性があります。コンサルに参加したNTTデータにどれだけの知識があったのかも分かりませんし。

証券取引の世界では、アルゴリズム取引といってコンピュータのプログラムが一定のアルゴリズムに従い売買を繰り返す仕組みが一般化しつつあり、これが取引量の増大を増長しています。細切れにした大口取引を1秒間で何回も執行したり、一旦注文した取引がアルゴリズムに沿わなければキャンセルしたりするので、取引所の観点からするといい迷惑です。実際、証券取引所では実際に約定(取引が成立すること)の割合は低下しつつあり、今だと20%から30%くらいだと思います。

今後このアルゴリズム取引は益々多用されていくので、取引所側としても能力増強が急務です。ちなみに出典は忘れてしまいましたが、ロンドン証券取引所はHPのNonStopサーバを使っていたのですが管理コストか嵩むのでWindowsベースのTradElectに移行した、という経緯があります。また、今もNonStopサーバを使っていると思われるNASDAQは、Itanium2を搭載した機種が出るまでにシステムのキャパシティを超えてしまうということで2005年の3月にNonStopサーバを500台強調達しています

あと、これは証券決済制度の専門話になってしまうのですが、今米国ではRegulation NSM、欧州ではMiFIDという証券決済に関する新しい仕組みが今年度中に導入されることになっていて、これが実現すると証券取引を証券取引所以外のプラットフォームで実現してしまうケースが増えていきます。実際、欧州では大手投資会社が結託してロンドン証券取引所と張り合うことができる規模の証券取引プラットフォームの構築が進んでいたりして、もしかするとこれが証券取引所の凋落を発生させてしまう可能性すらあります。

この話は別に対岸の火事ではなく、日本でも同じ現象が発生する可能性は十分にあります。今、日本では証券会社が独自に持っている証券取引プラットフォームはPTS(Proprietary Trading System私設取引システム)と呼ばれていて、夜間のみの運用しかできないよう規制が入っています。しかし、もしここで規制緩和が行われPTSの日中運用が可能になったとき、東証は国内でもこういったPTSを相手にしなければならなくなります。実際大前研一は今年1月にOMXという北欧の証券取引所が作成した日本についての特集記事の中で “I would not be surprised if the PTS market would gather liquidity with superior technology to the level to compete with traditional exchanges” と語っており、私も基本的にこの見解と同じような考え方を持っています。ちなみにOMXは証券取引所のITシステム「のみ」に特化した特殊な企業で、ここは証券取引所でもあり、また他の世界各国の証券取引所を相手にしたITベンダーでもあります。

簡単にまとめてしまうと、証券取引プラットフォームの世界もIT化の流れを受け「コモディティ化」しつつあります。そして、コモディティ化したマーケットが大抵そうであるように、それまで独占的な地位にいた歴史のある企業が必ずしもそのマーケットで勝ち続けるとは限りません。

上記のような流れのなかで、あくまで「メインフレーム的安全性」にこだわった東証のFRPは時代の流れというか空気を読んでいないという印象を受けます。World Federation of Exchangesという世界各国の証券取引所から構成される団体があって、そこが毎年各証券取引所の取引高や成長率を統計データとして公表しているのですが、東証の成長率は最低水準です。何しろ一日の取引許容数が1500万なのですから成長しようがないですね。反応速度が遅いことも原因だとは思いますが。

取引の処理もアルゴリズム取引によってIT化が進み、証券取引所のインフラもIT化の流れが急速に進んでいます。このままだと「東京証券取引所が無くなる日」が来てもおかしくはないと最近は考えるようになっています。

富士通がインフラ系で脱メインフレームの流れに参入していきたい意気込みはある程度理解できますし、それはそれで重要だとは思いますが、今回のケースの場合当の東証側が将来的なビジョンをもてないままRFPを作成してしまった嫌いがあります。コンペにはHPやIBM、Microsoftも参加していたようですが、メインフレーム前提で東証が条件を提示していたのだとすれば、最初から彼らに勝ち目は無かったのかもしれないですね。

Found via hexe. Posted Tuesday, August 21st, at 10:59 AM (∞).

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